えごま油の里、奥出雲紀行(2016年11月末)
11月26日の週末、金田油店スタッフ4名でちょうどえごま油の搾油がはじまった島根県の奥出雲を訪問して参りました。
縁結び空港に降り立ってからは、中村ファームの営業藤原さんが迎えに来てくれて、そこから約1時間半のドライブ。
その後2日間ずーっとお世話になりました、ありがとうございました。
搾油が始まる前、そして今真っ最中ということでもう同じ会社の人のように!毎日連絡を取り合っているところです。
いろいろと、うるさくてすみませんが引き続きよろしくお願いします。
2012年からご縁があってこちらのえごま油を扱い始めましたが毎年沢山のお客様が待ちわび、今や買いたくても一瞬で完売、なかなか買えないくらい人気になってしまいました。
2013年11月の訪問から私にとっては5回目の奥出雲訪問、今回はスタッフと一緒でより一層楽しかったです。
来る度に、澄み切った空気といい水、自然と独特の雰囲気、それが育む美味しいお米とお酒!蕎麦、そして関わる方々の人の良さに感激、大好きなところになりました。
こちらはえごま油作りまでをご紹介しますね。
過去レポはこちらです↓(油屋ごはん)
エゴマ講演会/奥出雲(2014年7月)
4回目のえごま油の里、奥出雲訪問(2015年12月)
<有機えごま畑>
去年までも無農薬、無化学肥料のものでしたが、今季より「有機えごま油」のみの取り扱いとなりました。
こちらが原料の畑です。もう収穫跡です。
<2016年のえごま生育、収穫量>
去年作付け面積日本一となった奥出雲ですが、夏くらいまでは生育順調と聞き嬉しく思っていました。
ですがお盆過ぎあたりから続く雨、日照不足など天候不順により当初予定していた量に全然届かないことが判明。
更に今回よく聞けば収穫時、穂中に実がないものがありどうやら一部ベニフキノメイガという蛾の幼虫が食べたようだとの話。
今までえごまは虫がつきにくいと思っていたのでびっくりしました。
まだ最終選別作業まで終っていないので、全体量が確定しませんが感触としては去年より少ない採れ高と言わざるを得ません。
これには私たちより現場の皆様全員の方が申し訳ない顔をされていましたが、自然が相手ではどうにもなりません。
そして収穫時に採り切れる種は50%以下というのも何度聞いても厳しい現実です。
機械収穫ではどんなに時期を見極めてもぽろぽろと種が落ちてしまうのです。
そして手刈りをするには広すぎる…。
収穫期ボランティアの導入なども検討事項です。
コンバインはえごま専用のものはなく、既存のものをいろいろ改良されて使用しています。
<選別作業>
さてようやく大事に収穫された種実は、種苗センターに運ばれゴミや茎葉を取り除き選別作業へ。
こちらの「とうみ(唐箕)」という機械に何度かかけて、中身がないもの=油分が少ないものを丁寧に取り除きます。
こちらは選別して「ダメ」な方の種です。
この後洗いにかけますが、種に油分が多いと水に浮きますよね?
でもこちらの分は沈みます。
このとうみ作業も結構難しいです。
スタッフが体験させてもらったところ、ハンドルを回しながら左手でレバーを押すと、加減が分からず全部の種が一瞬でざーっと落ちてしまって、意味がないことに。。。
以下はいつも作業している長瀬さんによるとうみ。
<洗浄と天日干し>
その後、手が凍りそうな水で何度か洗い、その後こちらで天日干しされます。
天気次第の日数がかかります。水分量はチェックして6%以下になるようにします。
そうしたら袋詰めしようやく搾油所へ。搾油を待つ種は冷蔵保管されます。
えごま種子。
黒えごまと白えごまでは、黒の方が油量が多いので搾油用には黒えごまを栽培しています。
ただ結構色にもバラつきがあるのが分かりますか?
黒の中でもこの若干白めのタイプが一番いいそうで…。
手前が作業担当の長瀬さん、奥が営業の藤原さん。
えごまの実をなんとピンセットで分別する作業も度々あるとか!
「もう頭おかしくなりそうですわーわはは」と明るくぼやいておられましたが、本当に頭が下がります。
<搾油>
いよいよ搾ります!(ちなみに製造担当も藤原さん・藤原コンビ!)
この有機専用機は、昨年までの慣行品をしぼるものとは分けて新しく購入されましたが、想像以上に小型です。
上部をスライドさせ1回に2~2.5KGの種をセットして搾るのですが、正直地味です…。
訪問した際は一度搾って途中で止めて待っていてくださったのですが、たら~っ!と勢いよく油が出るのは最初だけで、この時はもうぽたぽたレベル。
開始するとじわりと水色の筒の上部分の受け皿に油が染み出ては来るのですがなかなか見えにくい。
そしてピンクのチューブからぽたりっと黄金の雫が落ちて来るのです。
でもやっぱりご覧になりたいですよね?
はい、この大変地味な作業1時間でようやっと650~800g程度の油がとれるのです。
1日5回やってもわずか3、4KG!搾油率は約35%。
瓶詰めして1日わずか2、30本の製造なんです。貴重品でございます。
こちらは搾りかす。
最初のセット量を手で示されていますが、こんなにぎゅっと、でもゆっくりと搾られるわけですね。思うほどにおいもありません。
油は原料を焙煎することが多いですが、加熱することでとれる油の量がかなり増えるということも大きな理由です。
ですが奥出雲は全量天日干しのみ、焙煎は一切しておりません。もちろん軽い焙煎程度大丈夫なのですが、奥出雲はこの全量天日干しを売りに、透明感のある味わいを個性にしています。
目にすると、一滴も無駄にできない!!!と心底思いますよ。
では2016年初搾り、厳かに乾杯していただきます。
<今年のえごま油、味わいは?>
あー美味しいと口々に声が。
もうすーっとさらりとさっぱりと、という表現がぴったりの喉越し。
香りはかなり控えめ、癖もなくするりと飲めてしまいます。
搾りたてだからでしょうか、粘度を本当に感じません。
そして去年のものとの印象は今年の方が少し軽い気がします。
大きくは変わりませんがよりあっさりめ。
もしかすると後半の日照不足の影響もあるのかなと思いますがとても食べやすい仕上がりだと思います。
<ろ過・ボトリング・ラベル貼り>
あぁ良かったよかったというところで、しぼってフィルターろ過したものを即瓶詰めします。
スタッフも皆体験させていただきましたが、恐る恐る…。
コックを閉めるタイミングが悪いとこぼれそう。
自動打栓機に一同感動。これ欲しい~(笑)。
ネット通販が店舗販売分割り振りより多いです。
生産者、製造現場、販売者共にしっかり情報交換し今後も協力しあってお客様の元へ届けます。
この右側の写真!中村ファーム(製造担当はサンエイト農業事業部)の男衆による片付け風景、本当に明るく愉快で熱意に溢れる素敵な方々です。
なんとか日本の誇るえごまをもっともっと作り広め、地域の人も日本中の人も健康にしたいという信念で続けていらっしゃいます。
私達もどんどんお手伝いしたい、まだまだ欲しい人が順番待ちですので!
皆様の元に届いた貴重な奥出雲産えごま油、このページと共にお楽しみいただければ幸いです。
奥出雲の皆様ありがとうございました!
翌日は出雲大社に参拝へ。このご縁とえごま油の出来栄えに感謝して帰りました。
出雲大社の本殿大屋根の千木・勝男木(刀のような部分)にはえごま油を原料にした塗料が使われています。
是非ご覧くださいね。
以上奥出雲紀行でした。
蕎麦打ち体験記は機会をみて、ブログにアップします。
2016-11-30 20:48